2012年6月27日水曜日


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亀が太陽に向かって首をのばしていた。私と同じように日焼けをしたいのだろうと思った。
亀と同じことをしているはずなのに、なんだか亀とは違う時間を生きているように感じた。

亀の寿命は平均20ー30年。長い亀では170年くらい生きる物もいる。
長寿の亀の秘密はきっとその亀ののんびりさとマイペースさだろう。

「ゆとり」という言葉が流行した時期がある。
人間のいうこの「ゆとり」は、亀の生き方のようなものをさすのだろうか。

人間のいう「ゆとり」には対照に「忙しさ」というものがあり、それをさけるため、または脱却するために
反語として使われている言葉だ。これは、亀と人間のゆとりのあり方の大きな違いだ。
なぜなら亀は、ゆとりのある生活しか送ったことがなく、彼は自らの生活がゆとりのある生活だなんて
思っていないからだ。
だから亀と同じ行動をしていても、同じ空気が私と亀の間には流れていて
いかにも異なる空間を生きているように感じたのだ。

だからといって、人間も亀のように忙しさなんて存在していたことさえ忘れて、ゆとりのある生活を送ろう!
といっているわけではない。
人間は、ゆとりと忙しさという二つの相反する生活方法を知っている。
だからこそ、ゆとりの大切さを知ることができるというポジティブな面もある。

しかし、亀の生活の方が我々の「ゆとり」ある生活よりも素敵なものに見えてしまうのは、
いかに我々人間が純粋なゆとりのある生活をしようとしても、
この純粋にゆとりのある生活を手に入れられるのは限られた人間であり、他の人はただ「ゆとり」ある生活をしているフリをしているだけであるからだ。

「ゆとり」を持つということに罪悪感を抱いたことはないだろうか。
いつも何かやることがあるのに、その時間を割いて「ゆとり」の為に時間を使ってしまい後から後悔したり。
周りの空気が「ゆとりを持とう!」となっているから、
触発されて「ゆとり」に興味を持ってぼーっとしてみたが、なんか何もゆとりを持てずに終わってしまったり。


これは全部純粋なゆとりではなくて「ゆとりのフリ」だ。
私もこのゆとりのフリをしてきたことが何度もある。
亀の長寿の秘訣は、のんびりさとマイペースさだ。
このマイペースさが私には欠けていた。

純粋なゆとりを手に入れた今、もう一度亀を見に行った。
亀はまた日焼けをしていた。
私もそれに習った。
同じ時を過ごしているように感じたが、友達の時計を見るそぶりとともに
やっぱり異質な空間にいることを知らされた。

亀と一緒に日を見て思う。
人間は普通の亀より長生きするのに、なぜこうもせかせかしているのだろう。
亀の生き方を、時間を知ってしまった人間は誰もまねできないだろうのか。


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